迷い人が招かれるのは、とある猫のいる神社「猫のお告げは樹の下で 」

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心に響く作品紹介

今回、読ませていただいたのは、青山美智子さんが書かれた「猫のお告げは木の下で」です。
デビュー作『木曜日にはココアを』と同時に未来屋小説大賞入賞を入賞した今作。
青山美智子さんは、毎作とても心温まるヒューマンドラマの数々を執筆しています。
特にこの本は、読書でほっと一息つきたい、モヤモヤした心に新しい風を吹き込みたいという方にはおすすめな一冊です。

あらすじ&概要

ある場所にある神社には、タラヨウの樹があって葉っぱにはいろいろな言葉が書かれています。その神社に訪れる悩める人の中には一風変わった体験をする方がいるのです。
タラヨウの樹のそばでお尻に星のマークがついて人間のように微笑む不思議な猫、「ミクジ」。ミクジに会えると人は必ず、何か書かれたタラヨウの葉をミクジからもらいます。
「ニシムキ」、「マンナカ」、「」……
一見、意味のわからない言葉だけど、その言葉の意味に気づいた時、心の中にふわっとした温かい風が通り抜けます。

著者青山美智子
出版社宝島社
発売日2020/6/4
ページ数368ページ
サイズ10.6 x 1.4 x 15.2 cm()
ジャンルヒューマンドラマ・ハートフル・日常

この本を手に取ったきっかけ

この本を手に取ったきっかけは、気持ちが疲れていた時のこと。
何か読書で心を落ち着けたいなあと思い、ぼんやりと街の大きな本屋さんを歩いていました。そんな中でふと青山先生の本がある棚の前で立ち止まりました。そういえば、「お探し物は図書室まで」を読んだ時、すごく気持ちが励まされたことを思い出したのです。
その中でふと目に止まったのがこの小説です。
最近、猫の本にハマっていたことも決め手の一つです。
表紙や中身をパラパラと見た時に、なんだかすごく癒されそうな予感が心の底から沸き起こった感じがしました。

この本を読んでみた感想

まず、全体を通したおすすめポイントとしては、7つの物語で読みやすく、すらすらと読めてしまうのがいいですね。あとで軽く触れていきますが、7章の中でもそれぞれいろいろなパターンからスポットを当てていくけれど、全てが神社にいるミクジから始まっているところも面白いところ。
さらに各物語のテーマがそれぞれ一度は誰しもこういう立場になった時に悩んだことがあるのではないだろうかと思うような内容が散りばめられていて、抱えている自分の悩みがほっとしたり、あああの時のことってこう思えばもっと肩の荷が降りた考え方ができたのかなとかいろいろとふっと軽くなる瞬間を味わえるのもこの物語の素敵なところ。
特に「チケット」では、こんな娘や奥さんがいる家庭を築けたら素敵だなと感じました。
そして次の章でも、お話するイラストレーターを諦めきれない女性の話は、作者の青山さんもこんなことを考えながら執筆に至ったのかなと考えさせられます。
ハートフルでヒューマンドラマを読みたいならば、青山美智子さんの小説は必読のおすすめ本です!!

心に残った言葉

「どうやったらあんな絵、思いつくんですか?」
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「神様が入るスペースを作るんです!!」

「猫のお告げは樹の下で」だけあって猫のお告げで停滞していたかと思っていた自分の視界の隅に実は一歩を進む彼、彼女たちなりの答えを見出していくストーリー。
1章【ニシムキ】のケチ臭いと思っていたおばさんの見方が変わる展開がまた見事ですし、2章【チケット】では、こんなパパに自分もなってみたいし、こんな素敵なことを言ってくれる妻や娘がいるって幸せだなと想い読みました。また3章【ポイント】では就職活動に悩む大学生の姿が就職で上手くいかなかった自分と重なって見えてなんだか応援したくなる展開。4章【タネマキ】のお父さんの不器用さは理解できるなあと感じるし、5章【マンナカ】はなんというかクラスに馴染めない少年の心情になんとなく自分も覚えがあるなあと思うし、少年が最後に掴んだ【マンナカ】という意味にもハッとさせられたり、ジーンとくる展開がありました。そして心に残った言葉として選んだのは6章の【スペース】。
家庭や将来のために漫画家を目指す夢を諦めてしまおうとする女性に、創作活動をする自分自身もシンパシーを感じずにはいられませんでした。そんな中で絵で個展を開いているパパさんから言われた一言。周囲の人は才能があると思ってしまうけれど、アイデアっていかに何かに気づけたかだし、その気づきって血眼になって考えている人にはなかなか出てこないですよね。今を生きているとどうしても、やることに追われて疲弊してしまいがちです。でもほっとして何かを呼び込む時間って実はすごく大事だなと改めて感じました。

モヤモヤした心にすっきりとした風を通したい人におすすめな一冊!!

最後の7章【タマタマ】も有名になった占い師の女性と、鍵を無くしたというお婆さんの無くした鍵の場所についての相談が素敵な出会いに変わっていく流れがすごいと思いました。さらに人生っていろいろあるなあとこの章だけを通しても見えてくるキャラたちの書き方がとても素晴らしいなと感じます。
今回も青山先生にはふと心に刺さった棘を抜いてもらったようなそんな気持ちにさせてもらえる小説でした。
結果的に、モヤモヤしていた心のモヤが晴れたようなそんな気分にさせてもらえる一冊だったなと思います。
今の生活で悩みを抱えている人、もしくは心がモヤモヤしていて沈んでいる人は青山先生の物語のように神社に出かけてみながらこの本を読んでみてはいかがでしょうか?
もしかしたらミクジに出会えるかもしれないです、それか本当はミクジはいつもあなたの心のそばにずっといて、あなたが気づいていないだけ!!なんてことを青山さんは伝えたいのかもしれませんね。この本で気持ちが晴れるきっかけになってくれれば紹介した僕も嬉しいです!!

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