昨今、なにかしらの病気を抱え、日常的に薬を飲んでいる人は多いのかなと思います。
でも病気を治してもらいたくて病院に行ったら薬じゃなく、猫を処方されたらどうでしょう?
怒りたくもなりますし、拍子抜けして何を言えばいいのかわからなくなりそうですね。
逆にこの小説のように猫を処方して欲しい!!と思うほどストレスを抱えている人は夢のような話かもしれません。
でもなかなか猫を自分の家にお迎えするというのはお金や勇気……いろいろいるもので大変です。
だからこそ実際に猫を飼ったり触れ合わなくてもユーモアと癒しが溢れているこの一冊を読めば、心のモヤモヤがすっきりするかもしれません。
また猫と身近に触れ合うひとだからこそグッと感じるシーンもいっぱいある物語になっています。
猫好きは必読の一冊です!!
あらすじ
人のうわさでしかたどり着けない謎の病院。
それが京都市中京区の薄暗い路地にある「中京こころのびょういん」。
そこで心を患ってしまった患者が処方されるのは、睡眠薬でも抗うつ薬でもなく、本物の猫!?
戸惑いながらも患者たちは、猫を「服用」し、いつの間にか自分の心を塞いでいた何かが猫のおかげで変化を遂げていきます!!
そんな猫を処方する「中京こころのびょういん」には猫を処方するある理由があるのです……。
著者 | 石田 祥 |
ページ数 | 304ページ |
出版社 | PHP研究所 |
出版日 | 2023年3月9日 |
本サイズ | 文庫 |
ジャンル | ヒューマンドラマ・ハートフル・アニマル |
この本を手に取ったきっかけ
僕は疲れた時や悩みがある時は書店にただ行って本を眺めるのだけで少しストレス解消になっちゃうくらいに本が好きなのです。
そんな感じでいつもどおり、本を眺めている時にたまたま目が会ってしまった小説がこちら。
ちょうどその時、Instagramで動物の動画を集めるのにハマっていた時期で、悩みを抱えている人に薬ではなく、猫を処方する病院という突飛な発想のストーリーコンセプトに惹かれ思わず手にとってしまいました!!
この本を読んでみた感想
この本を最後まで読んでみると各話でくすりと笑わせられる物語の展開になっています。
特に面白いなあと思うのが処方された猫たちの役割です。
悩みを抱えて訪れた患者たちに貸し出される猫たちは、それぞれに自由に行動を起こしちゃいます。
そうすると、周囲の人間が不思議と猫の思うがままに巻き込まれてしまうのです。
そんな痛快さが患者たちの悩みの解決に一役買ってしまう展開になんだかこちらが癒されてしまいます。そして自分にもこんな猫との出会いがあれば面白いなあなんて想像してしまいました。
この一冊を読んでどこか心が軽くなったようなそんな気がします。
心に残った言葉
「僕はな、仕事上、大きく線を引いているんや。
『猫を処方いたします 第5話』須田心先生
動物と、名前をもらった動物や。名前のある動物には飼い主がいて、僕はそれは一つの括りやと思ってる。(中略)
だから千歳のことは君が考えて、君が決めたらええ。他の人間がとやかく言うべきことやあらへん
「あなたのずっとにいてあげられなくてごめんね」
『猫を処方いたします 第5話』千歳
長い人生の中で、誰しも大切に思っていたものや愛していた人との別れを経験したことはあると思います。でもなかなかその別れを割り切るのが難しい時の方がほとんどですよね。
この小説では、それぞれに悩みを抱えた登場人物が各話に登場しますが、その中の物語に「中京こころの病院」で受付を担当している看護師の千歳さんとその待ち人、あび野さんの物語があります。
最愛の猫との別れが自分のせいではないかと責め続けているあび野さん。そんな彼女に猫を処方します。はたしてあび野さんの心の鎖は解き放つことができるのでしょうか?
その中であび野さんにかけられた言葉たちにグッときました!!
転職・別れ・完璧主義…何かしらの悩みを抱える人におすすめな一冊!!
各5話ある物語の中で、それぞれに悩みを抱えた患者は、きっとどこか自分にも心当たりがあるようなキャラクターがいるはずです。
そんな彼らと猫たちの解決劇を一緒にストーリーの中で感じることで自身の心もすっきりしてくるようなそんな物語になっています。
ちょっと今の現状に疲れたなあと思っている方は休日に少し時間をとってこの本を読んでみるときっと心が軽くなりますよ!!
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